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遺言書のお話

2026年04月16日

相続のプロが解説 いま注目の「遺贈寄付」とは? 親の終活で知っておきたいポイントと注意点

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

はじめに 「遺贈寄付」が増えている背景

少子高齢化が進む日本社会では、相続のあり方も大きく変わりつつあります。特に注目されているのが「遺贈寄付」という選択肢です。Yahoo!ニュースでも取り上げられ、2023年度には実行件数が1,142件、寄付額は前年度比でほぼ倍増の約643億円に達しました。

相続人がいない高齢者や、生涯未婚を選択された方、あるいは「子どもに全額残すより社会に貢献したい」と考える方が、終活の一環として遺贈寄付を選ばれるケースが増えています。

この記事では、相続遺言専門の司法書士として、80代の親を持つ40代の皆さんに向けて、遺贈寄付の仕組みと注意点を分かりやすく解説します。


遺贈寄付とは 基本的な仕組みを知ろう

遺贈寄付の定義と法的位置づけ

遺贈寄付とは、遺言書によって自分の財産の一部または全部を、特定の団体や公益法人に寄付することです。法律上は「遺贈」という相続の一形態に該当し、遺言書に明記することで効力を持ちます。

遺言書がなければ、法定相続人に財産が分配されるのが原則ですが、遺言書で意思表示をすることで、自分の想いを形にすることができるのです。


遺贈寄付が増加している社会的背景

日本承継寄付協会の調査によると、20~70代の男女の63.8%が遺贈寄付を認知しており、直近2年で10ポイント以上増加しました。特に、以下のような理由で選ばれています。

相続人がいない 生涯未婚率の上昇、少子化により、財産を引き継ぐ子どもや親族がいない方が増えている

地域貢献への想い 「生まれ育った地域」や「現在住んでいる地域」の団体を応援したいと考える方が50.3%

社会貢献の実現 人生最後の意思表示として、医療・福祉・教育・環境保護などの分野に貢献したい

これは単なる財産処分ではなく、「人生最後の社会貢献」であり、「究極の自己表現」と言えるでしょう。


親の終活で「遺贈寄付」を話し合うタイミング

80代の親を持つ40代がいま考えるべきこと

親御さんが80代であれば、終活について話し合うべき時期に差し掛かっています。特に以下のような状況では、遺贈寄付も選択肢の一つとして話題にしてみましょう。

親に相続人が少ない、またはいない

親が社会貢献や地域貢献に関心がある

財産が多く、相続税対策を検討している

親自身が「財産の使い道」について悩んでいる


親子で話し合う際のポイント

遺贈寄付について話すときは、以下のように切り出すとスムーズです。

「最近、遺贈寄付っていう選択肢が増えてるみたいだよ。お父さん(お母さん)は、自分の財産をどう使いたいって考えてる?」

押し付けるのではなく、親御さんの価値観や想いを尊重する姿勢が大切です。


遺贈寄付のメリットとデメリット

メリット 社会貢献と税制上の優遇措置

遺贈寄付には、以下のようなメリットがあります。

社会貢献の実現 医療、福祉、教育、環境保護など、自分が応援したい分野に貢献できる

相続税の軽減 公益法人等への寄付は、相続税の課税対象から外れる場合がある(一定の要件を満たす必要あり)

地域への恩返し 生まれ育った地域や、お世話になった地域への貢献ができる

遺産分割のトラブル回避 相続人がいない場合、国庫に帰属するより、自分の意思で使い道を決められる


デメリット 事前準備の重要性とトラブルリスク

一方で、注意すべき点も多くあります。

遺言書が必須 口頭や簡単なメモでは効力がありません

寄付先団体の受け入れ体制 すべての団体が遺贈を受け入れているわけではない

不動産寄付の難しさ 現金化を前提とする団体がほとんどで、トラブルの元になりやすい

親族とのトラブルリスク 相続人がいる場合、遺留分を侵害する可能性がある


注意すべきポイント 不動産寄付は特に慎重に

不動産遺贈のトラブル事例

記事でも指摘されていますが、アパートなどの不動産を遺贈した場合、以下のようなトラブルが報告されています。

寄付先の団体が不動産を受け入れられず、相続人や関係者が困惑する

賃貸物件の場合、住人が突然立ち退きを求められる

管理費や固定資産税の支払い義務が発生し、団体が負担できない


不動産を寄付したい場合の対応策

不動産を寄付する場合は、以下の手順を踏むことをおすすめします。

事前に寄付先団体に相談 受け入れ可能か、条件は何かを確認する

現金化の検討 売却して現金にしてから寄付する方法も検討する

遺言執行者の指定 不動産の処分や手続きを任せられる専門家(司法書士や弁護士)を指定する


遺贈寄付を実現するための手順

ステップ1 寄付先を決める

まずは、どの団体に寄付したいかを決めましょう。以下のような分野があります。

医療・福祉 病院、介護施設、障がい者支援団体など

教育 大学、奨学金団体、子ども支援団体など

環境保護 自然保護団体、動物愛護団体など

地域振興 自治体、地域NPOなど


ステップ2 団体に受け入れ可否を確認

寄付先候補が決まったら、事前に連絡して以下を確認しましょう。

遺贈寄付を受け入れているか

受け入れ条件(最低金額、不動産の可否など)

遺言書への記載方法


ステップ3 遺言書を作成する

遺贈寄付を実現するには、遺言書が必須です。以下の3種類があります。

自筆証書遺言 自分で書く。法務局での保管制度も利用可能

公正証書遺言 公証役場で作成。最も確実で安心

秘密証書遺言 内容を秘密にしたい場合(実務上はあまり使われない)

相続遺言専門の司法書士に相談すれば、遺言書の作成から寄付先の選定まで、トータルでサポートが受けられます。


ステップ4 遺言執行者を指定する

遺言の内容を確実に実行するため、遺言執行者を指定しましょう。司法書士や弁護士などの専門家を指定することで、手続きがスムーズに進みます。


親族とのトラブルを避けるために

遺留分に注意

相続人(配偶者、子、親)がいる場合、遺留分という法定の最低保障分があります。全額を寄付してしまうと、遺留分を侵害し、親族から「遺留分侵害額請求」をされる可能性があります。

遺留分を考慮しながら、寄付額を調整することが大切です。


事前に家族と話し合う

遺贈寄付を検討する際は、できるだけ生前に家族と話し合い、理解を得ておくことが望ましいです。「なぜ寄付したいのか」という想いを共有することで、トラブルを未然に防げます。


まとめ 遺贈寄付は「想い」を形にする終活の選択肢

遺贈寄付は、相続人がいない方だけでなく、社会貢献や地域貢献を望む多くの方にとって、有意義な選択肢です。ただし、遺言書の作成、寄付先の選定、親族との調整など、事前準備が不可欠です。

特に不動産の寄付は、受け入れ体制が整っていない団体が多いため、慎重に検討する必要があります。

80代の親を持つ40代の皆さん、親御さんの終活について話し合う際に、「遺贈寄付」という選択肢があることをぜひお伝えください。そして、遺言書の作成や寄付先の選定にお困りの際は、相続遺言専門の司法書士にご相談ください。

人生最後の想いを、確実に形にするお手伝いをさせていただきます。


参考記事
「最後の社会貢献」遺贈寄付の件数、増加傾向 寄付時の注意点は
https://news.yahoo.co.jp/articles/b19720d18641c3bd0ab07266ab08fd22847c82f2


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