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遺言書のお話

2026年04月17日

相続放棄の落とし穴:親の死後、家族を守るために今すぐ知っておくべきこと

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

はじめに:相続が生活保護のきっかけに?衝撃の実例

Yahoo!ニュースに掲載された「"相続"がきっかけで「生活保護」に追い込まれる人々」という記事をご存知でしょうか。

一見すると信じがたいタイトルですが、これは決して大げさな話ではありません。親が亡くなり、相続が発生した際に、本来受け取れるはずの財産を失い、住む場所さえ奪われ、生活保護に頼らざるを得なくなる…そんな悲劇が、現実に起きているのです。

私は相続遺言専門の司法書士として、日々多くのご家族の相続手続きをサポートしていますが、「もっと早く相談してくれていれば」と感じるケースが本当に多いのです。

特に、80代のご両親をお持ちの40代の皆さん。今この瞬間こそが、ご家族を守るために動き出すべきタイミングかもしれません。


相続放棄とは?その仕組みと危険性

相続放棄の基本ルール

相続放棄とは、相続人としての権利を一切放棄する法的手続きです。

重要なポイントは以下の3つです。

期限は3か月以内:「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

撤回は原則不可:一度家庭裁判所で受理されると、原則として撤回できません(民法919条1項)。

すべての財産を放棄:プラスの財産もマイナスの財産も、すべて相続しないことになります。


なぜ相続放棄が悪用されるのか

親が亡くなった直後というのは、遺族にとって精神的に最も脆弱な時期です。深い悲しみと混乱の中で、冷静な判断ができない状態にあります。

そんな時に、「面倒な手続きはすべて代わりにやってあげる」「実印と印鑑証明書を預けてくれるだけでいい」と言われたら、つい信頼してしまうのも無理はありません。

特に、以下のような方が標的になりやすいと言われています。

軽度の知的障害や精神障害をお持ちの方
認知症の初期症状がある高齢者
うつ病など精神的に不安定な状態にある方
相続手続きに関する知識が乏しい方


実際に起きた悲劇:Yahoo!ニュース記事より

ケース1:うつ病の弟が家を失った事例

記事では、親から引き継いだ事業を兄弟で経営していたケースが紹介されています。

うつ病を患っていた弟さんは、気の強い兄に押されて相続放棄をしてしまいました。その結果、弟さんの一家は住み慣れた家からの立ち退きと引越しを余儀なくされたのです。

後になって「だまされた」と気づいても、時すでに遅し。家庭裁判所で受理された相続放棄を覆すことは、極めて困難です。


ケース2:口約束だけで代償金が支払われなかった事例

「実家を分割すると手続きがややこしくなるから、長男である自分が一括して単独相続する。後で相応の現金を払う」

このようなもっともらしい理由で遺産分割協議書にサインさせられ、不動産の名義変更が終わった途端に手のひらを返され、約束された代償金も支払われず、家からも追い出される。

こうした卑劣な搾取が、実際に起きているのです。


なぜ事後対応が難しいのか?法的な壁

詐欺や脅迫の立証は困難

民法96条では、詐欺や脅迫による意思表示は取り消すことができるとされています。

しかし、親族間の密室でのやり取りを、客観的な証拠をもって立証することは至難の業です。

録音や録画などの証拠がない
第三者の証人がいない
「自分の意思で判断した」と言われれば反論が難しい

こうした理由から、事後の救済はほとんど不可能に近いのが現実です。


相続放棄の撤回は原則不可

民法919条1項により、相続放棄は一度受理されると原則として撤回できません。

例外的に取り消しが認められるのは、詐欺・脅迫・錯誤などの場合のみですが、前述の通り、その立証は極めて困難です。


相続トラブルを防ぐために今できること

1. 親が元気なうちに遺言書を作成する

遺言書があれば、誰にどの財産を渡すかが明確になります。

特に、以下のようなケースでは遺言書の作成を強くお勧めします。

子どもの中に判断能力が十分でない方がいる
家族の仲が必ずしも良好ではない
財産の内訳が複雑(不動産、事業、株式など)
特定の子どもに多く財産を残したい事情がある

公正証書遺言であれば、紛失や改ざんのリスクもなく、家庭裁判所での検認手続きも不要です。


2. 家族で財産の全体像を共有する

親の財産がどこにどれだけあるのか、家族で共有しておくことが大切です。

預貯金(銀行名、支店、口座番号)
不動産(所在地、登記情報)
有価証券(証券会社、銘柄)
借入金やローンの有無
生命保険の契約内容

これらを一覧表にまとめた「財産目録」を作成しておくと、いざという時に慌てずに済みます。


3. 専門家と事前に繋がっておく

相続が発生してから慌てて専門家を探すのではなく、元気なうちから信頼できる専門家と繋がっておくことをお勧めします。

司法書士(相続登記、遺言書作成)
税理士(相続税申告、生前贈与)
弁護士(相続トラブル、遺留分請求)
行政書士(遺産分割協議書作成)

私たち司法書士は、相続手続き全般の窓口となり、必要に応じて他の専門家とも連携してサポートします。


4. 相続放棄は慎重に判断する

相続放棄は、必ず専門家に相談してから判断してください。

以下のような状況では、特に注意が必要です。

親族から「すぐに放棄しないと大変なことになる」と急かされる
書類の内容をよく理解しないまま署名・押印を求められる
「後で現金を払う」などの口約束だけで書面がない
一人で判断せざるを得ない状況に追い込まれている

相続放棄には3か月という期限がありますが、その期間は家庭裁判所に申し立てれば延長することも可能です。焦らず、冷静に判断することが何より大切です。


相続で失われるのは財産だけではない

Yahoo!ニュースの記事の中で、最も印象的だったのがこの一文です。

「相続トラブルにおける最も残酷な点は、お金の問題以上に、信じていた家族の絆が粉々に壊されて、人間不信に陥ってしまうことです。」

相続は、単なる財産の分配ではありません。家族の歴史であり、絆であり、これからの人生を左右する大きな転機です。

だからこそ、トラブルになってから対処するのではなく、事前にしっかりと備えることが必要なのです。


80代の親を持つ40代の皆さんへ

「まだ親は元気だから」「うちは財産が少ないから大丈夫」

そう思っていませんか?

でも実際には、財産の多寡に関わらず、相続トラブルは起こります。むしろ、少額の財産をめぐって骨肉の争いになるケースも少なくありません。

40代という年齢は、親の介護や相続について真剣に考え始めるタイミングです。まだ親が元気で、冷静に話し合いができる「今」こそが、ベストタイミングなのです。


まとめ:知識が家族を守る

相続は、誰にでも必ず訪れる人生の節目です。

そして残念ながら、その節目が悲劇の始まりになってしまうケースも存在します。

でも、正しい知識と事前の備えがあれば、多くのトラブルは防ぐことができます。

親が元気なうちに遺言書を作成する
家族で財産の全体像を共有する
信頼できる専門家と繋がっておく
相続放棄は慎重に判断する

これらのポイントを押さえておけば、大切な家族を守ることができます。

もし、「何から始めればいいか分からない」「誰に相談すればいいか分からない」という方は、ぜひお近くの司法書士にご相談ください。

私たち相続遺言専門の司法書士は、皆さんの家族を守るために、全力でサポートいたします。

参考記事:
"相続"がきっかけで「生活保護」に追い込まれる人々…多額の遺産が原因で
https://news.yahoo.co.jp/articles/986df492168011f5c439c6e49afce08b8bd50730


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