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遺言書のお話

2026年04月24日

2026年4月から始まる「スマート変更登記」とは?相続を控えた40代が知っておくべき不動産登記の新制度

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

はじめに

親が80代になり、そろそろ実家の相続について考え始めている方も多いのではないでしょうか。2026年4月から、不動産登記に関する大きな制度変更が実施されます。それが「住所・氏名変更登記の義務化」と「スマート変更登記制度」です。

この記事では、相続遺言専門の司法書士の視点から、80代の親を持つ40代の方に向けて、新制度の内容とその影響、そして今からできる準備について詳しく解説します。

不動産登記制度が大きく変わる背景

日本では現在、約410万ヘクタールもの「所有者不明土地」が存在しています。これは九州全体の面積に匹敵する広さです。所有者不明土地は、公共事業の妨げになるだけでなく、土地の有効活用や管理を困難にし、地域の活性化を阻害する要因となっています。

この問題の大きな原因の一つが、相続登記や住所変更登記が長年にわたり任意の手続きだったことです。相続が発生しても登記せず、引っ越しをしても登記上の住所を変更しない。そうして何十年も経過すると、登記簿上の所有者と実際の所有者が一致しなくなり、誰が本当の所有者なのかわからなくなってしまうのです。

こうした社会問題を解決するため、2021年に民法・不動産登記法等が改正され、段階的に新しい制度が施行されています。

2024年4月から始まった相続登記の義務化

まず押さえておきたいのが、2024年4月からすでに施行されている「相続登記の義務化」です。

これまで相続登記は任意でしたが、2024年4月以降は、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが法律で義務づけられました。正当な理由なく登記を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

注意すべきは、この義務化は過去の相続にも遡って適用されるという点です。つまり、2024年4月より前に相続した不動産でも、2027年3月31日までに相続登記をしなければなりません。

「うちは何十年も前に父が亡くなったけど、まだ登記していない」という方は、すぐに対応が必要です。

遺産分割協議が難航している場合の救済措置

相続人が多数いて遺産分割協議がまとまらない、あるいは相続人の調査や必要書類の収集に時間がかかるなど、期限内に相続登記ができない事情がある場合もあります。

そうしたケースに対応するため、2024年4月から「相続人申告登記制度」も始まっています。これは、自分が相続人であることを法務局に申し出ることで、とりあえず相続登記の義務を果たしたとみなされる制度です。特定の相続人が単独で申し出ることができ、他の相続人の分も含めて代理で申し出ることも可能です。

まずはこの制度を利用して義務を履行し、その後ゆっくりと遺産分割協議を進めることができます。

相続開始から10年経過後の遺産分割ルール変更

もう一つ重要な改正が、相続開始から10年を経過した後の遺産分割に関するルールです。

従来は、何十年経っても生前贈与や寄与分などを考慮した「具体的相続分」で遺産分割することができました。しかし2023年4月以降に開始した相続については、相続開始から10年を経過すると、原則として法定相続分または遺言による指定相続分で画一的に分割することになりました。

これは、長期間放置された遺産分割を促進し、遺産共有状態を早期に解消するための措置です。実務上は「早めに遺産分割協議をまとめる」ことの重要性が一層高まったと言えます。

2026年2月開始の「所有不動産記録証明制度」とは

相続が発生したとき、「親がどこにどんな不動産を持っているのか」を把握するのは意外と大変です。実家以外にも、田舎の山林や遠方の土地を持っていることもあります。

2026年2月2日からは、「所有不動産記録証明制度」が始まります。これは、特定の人が所有する全国の不動産を一覧的にリスト化して証明する制度です。

相続人であれば、法務局に請求することで、亡くなった親が所有していた不動産のリストを入手できます。請求はオンラインでも可能で、手数料は1通1600円です。

ただし注意点として、この証明書は請求時に記載した氏名・住所と登記簿上の氏名・住所が一致する不動産のみが抽出されます。親が過去に名前や住所を変更していて登記が更新されていない場合、その不動産は抽出されない可能性があります。

2026年4月からの住所・氏名変更登記の義務化

そして2026年4月1日からは、「住所・氏名変更登記の義務化」が施行されます。

これまで不動産を所有している人が引っ越しをしても、登記上の住所を変更する義務はありませんでした。しかしこれが所有者不明土地問題の一因となっていたため、今後は変更があった日から2年以内に変更登記をすることが義務となります。

正当な理由なく変更登記を怠ると、5万円以下の過料が科される可能性があります。

また、2026年4月1日より前に住所等を変更した場合でも、2028年3月31日までに変更登記をしなければなりません。つまり、過去の引っ越しについても遡って登記する必要があるのです。

画期的な「スマート変更登記」制度

「引っ越しのたびに法務局で手続きするのは面倒だな」と思った方に朗報です。

2026年4月1日から、住所等の変更登記義務化と同時に「スマート変更登記制度」も始まります。

これは、事前に不動産の所有者が法務局に生年月日などの検索用情報を申し出ておくことで、引っ越しなどで住所変更するたびに自分で変更登記の申請をしなくても、法務局の登記官が職権で住所などの変更登記を行ってくれる制度です。

具体的な流れは以下のとおりです。

1. 不動産所有者が法務局に検索用情報を事前申出
2. 法務局が定期的に住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に照会
3. 住所変更が確認されたら、所有者本人に変更登記をすることの確認
4. 法務局が職権で変更登記を実施

つまり、一度登録さえしておけば、その後は自動的に登記が更新されるのです。これなら引っ越しのたびに法務局へ行く必要がなく、変更登記の義務も自動的に果たせます。

この制度は、行政手続きのデジタル化の好例と言えるでしょう。国民の負担を軽減しながら、登記情報の正確性を保つ画期的な仕組みです。

使い道のない土地は国に引き渡せる「相続土地国庫帰属制度」

「田舎の山林を相続したけれど、使い道がなく管理も大変」という悩みを抱える方もいるでしょう。

そうした場合に利用できるのが、2023年4月から始まった「相続土地国庫帰属制度」です。これは、相続などで取得した土地を国に引き渡すことができる制度です。

引き渡し後は固定資産税などの負担がなくなるため、管理に困っている土地を手放したい方には便利な制度です。

ただし、すべての土地が対象になるわけではありません。建物がある土地、担保権が設定されている土地、土壌汚染がある土地などは対象外です。また、審査手数料として1万4000円、承認された場合は負担金(10年分の土地管理費相当額)の支払いが必要です。

制度を利用する際は、事前に法務局で要件を確認することをおすすめします。

80代の親を持つ40代が今すべきこと

ここまで2026年に向けた不動産登記制度の変更について解説してきました。では、80代の親を持つ40代の皆さんは、今から何をすべきでしょうか。

親の不動産を把握する

まず最も重要なのは、親がどこにどんな不動産を持っているかを把握することです。実家だけでなく、田舎の土地、駐車場、山林など、意外な場所に不動産を所有していることがあります。

親が元気なうちに、一緒に権利証や固定資産税の納税通知書を確認しましょう。2026年2月からは所有不動産記録証明制度も始まりますが、生前に本人と一緒に確認しておくほうが確実です。

登記情報が最新かチェックする

次に、その不動産の登記情報が最新のものになっているか確認しましょう。法務局で登記事項証明書を取得すれば、現在の登記内容がわかります。

親の住所が登記上のものと現住所で異なっている場合、2028年3月末までに変更登記が必要です。また、過去に相続したものの登記していない不動産があれば、2027年3月末までに相続登記が必要です。

遺言書の作成を検討する

相続トラブルを防ぎ、スムーズな相続を実現するためには、遺言書の作成が有効です。

特に不動産が複数ある場合、誰が何を相続するのかを明確にしておくことで、相続後の遺産分割協議がスムーズになります。また、10年以内に遺産分割を成立させることの重要性が高まっている今、生前に遺言で相続分を指定しておくことは非常に有効な対策です。

公正証書遺言であれば、法的に確実で、紛失の心配もありません。親御さんに遺言書作成を提案してみてはいかがでしょうか。

専門家に相談する

不動産登記や相続の手続きは複雑で、一般の方がすべてを理解して対応するのは困難です。また、個々の家庭の事情によって最適な対応は異なります。

司法書士は登記の専門家であり、相続手続きの全体をサポートできます。早めに専門家に相談することで、将来のトラブルを予防し、安心して相続の準備を進めることができます。

まとめ

2026年は不動産登記制度にとって大きな転換点となります。住所・氏名変更登記の義務化は所有者に新たな負担を課すものですが、同時に始まるスマート変更登記制度は、デジタル技術を活用して国民の負担を大幅に軽減する画期的な仕組みです。

また、相続登記の義務化、所有不動産記録証明制度、相続土地国庫帰属制度など、一連の制度改正は、所有者不明土地問題の解決と円滑な資産承継を目指したものです。

80代の親を持つ40代の皆さんは、まさにこれらの制度変更の影響を最も受ける世代です。制度をよく理解し、早めに準備を始めることが、将来の安心につながります。

わからないことや不安なことがあれば、ぜひお近くの司法書士にご相談ください。私たち専門家は、皆さんとご家族が安心して次の世代へ財産を引き継げるよう、全力でサポートいたします。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9faca661e87500c7e8dd105cae9cd0d82cb6fbf4


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