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遺言書のお話

2026年05月16日

相続登記義務化で「3年以内」が難しいときの実務対応――80代の親を持つ40代が今知っておくべきこと

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

2024年4月から始まった相続登記義務化。あなたは「相続を知った日から3年以内」という期限を守れる自信がありますか?実は、相続の現場では3年では終わらないケースが数多く存在します。本記事では、相続遺言専門の司法書士として、80代の親御さんをお持ちの40代の方に向けて、過料を回避しながら適切に対応する方法を解説します。


なぜ相続登記は義務化されたのか

まず、背景を理解しておきましょう。

日本全国で「所有者不明土地」が九州本島の面積を超える規模で存在し、公共事業や災害復旧の妨げになっていることが社会問題化しました。その原因の多くが、相続登記の放置です。

祖父名義のまま放置された不動産、何代にもわたって相続されていない土地――こうした状況を解消するために、2024年4月から相続登記が義務化されたのです。


相続登記義務化の基本ルール

相続登記義務化には、次のような基本ルールがあります。

・相続を知った日から3年以内に登記申請が必要
・正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料
・2024年4月より前の相続も対象(3年の猶予あり)

つまり、親御さんが亡くなったことを知ってから3年以内に、法務局で不動産の名義変更を完了させなければならないのです。


現場で見る「3年では終わらない相続」の実態

ところが、実際の相続現場では、こんなケースが本当に多いのです。

相続人の把握に時間がかかるケース

戸籍を辿っていくと、親が再婚していて前妻との間に子どもがいた、養子縁組していた親族がいた、など、思わぬ相続人が判明することがあります。こうした相続人を探し出し、連絡を取るだけで半年以上かかることも珍しくありません。

遺産分割協議が難航するケース

相続人全員の合意が必要な遺産分割協議。兄弟間の意見が合わない、疎遠になっている親族がいる、認知症で判断能力が低下している相続人がいる――こうした事情があると、話し合いは長期化します。

不動産の権利関係が複雑なケース

古い不動産では、共有名義になっていたり、抵当権が残っていたり、境界が不明確だったりと、調査に時間がかかるケースがあります。測量が必要になれば、さらに時間とコストがかかります。

海外在住の相続人がいるケース

相続人の中に海外在住者がいると、書類のやり取りだけで数ヶ月かかることもあります。時差や言葉の壁、各国の法制度の違いも、手続きを複雑にします。


過料を回避する3つの実務対応

では、「3年以内」が難しい場合、どうすればいいのでしょうか。実務で使われる3つの対応方法を紹介します。

対応1:相続人申告登記を活用する

相続人申告登記とは、「私が相続人です」と法務局に申し出るだけで、相続登記義務を果たしたことになる制度です。

この制度の最大のメリットは、遺産分割協議が終わっていなくても、戸籍を集めて自分が相続人であることを証明するだけでOKという点です。

手続きも簡単で、相続人の一人から申し出ることができます。他の相続人の同意も不要です。

とりあえずこの申告をしておけば、過料のリスクを回避しながら、ゆっくり遺産分割協議を進められます。

ただし注意点もあります。これはあくまで「暫定措置」であり、最終的には正式な相続登記が必要です。また、相続人申告登記では持分が確定しないため、不動産を売却したり担保に入れたりすることはできません。

対応2:正当な理由を主張する

相続登記義務には「正当な理由」があれば過料を免れるという例外規定があります。

法務省が示している正当な理由には、次のようなものがあります。

・相続人が極めて多数で、戸籍収集や連絡に時間がかかる場合
・遺言の有効性や遺産の範囲について争いがある場合
・相続人自身が重病で手続きができない場合
・災害等により手続きが困難な場合

こうした事情がある場合は、法務局に事情を説明することで、過料を回避できる可能性があります。

ただし、「忙しかった」「知らなかった」といった理由は認められませんので注意が必要です。

対応3:専門家を早期に入れる

これは対応というより予防策ですが、相続発生後、できるだけ早く司法書士などの専門家に相談することが重要です。

専門家が入ることで、次のようなメリットがあります。

・手続きの全体像と期限が明確になる
・複雑な戸籍収集を代行してもらえる
・遺産分割協議のポイントを押さえられる
・相続人申告登記など、適切な制度を選択できる
・万が一のトラブルにも対応できる

初期段階で専門家のアドバイスを受けることで、3年という期限内に収まる可能性が高まります。


80代の親を持つ40代が今やっておくべきこと

相続は「ある日突然」やってきます。でも、事前準備で大きく変わります。

親が元気なうちにやっておくべきこと

不動産の確認をしておく

親が所有している不動産が何件あるのか、どこにあるのか、把握していますか? 登記簿謄本を取り寄せて、現在の名義や権利関係を確認しておきましょう。

実家の他に、先祖代々の農地や山林、投資用の不動産など、本人も忘れているケースがあります。

権利証や重要書類の保管場所を聞いておく

権利証(登記済証・登記識別情報)、実印、印鑑証明書、固定資産税の納税通知書――こうした重要書類がどこにあるか、確認しておきましょう。

いざというとき、これらが見つからないと手続きが大幅に遅れます。

家族で相続について話し合っておく

「縁起でもない」と避けられがちですが、元気なうちにこそ話し合うべきです。

親の意思を確認し、兄弟姉妹で共有しておくことで、後のトラブルを防げます。

遺言書の作成を勧める

特に不動産が複数ある場合、共有名義を避けるために、遺言書で明確に分け方を指定しておくことをお勧めします。

公正証書遺言なら、家庭裁判所の検認も不要で、スムーズに手続きできます。

いざ相続が発生したらすぐにやること

戸籍の収集を最優先で

相続手続きの大前提は、相続人の確定です。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を集めましょう。

本籍地が何度も変わっている場合、各地の市区町村に請求する必要があり、時間がかかります。

不動産の評価額を確認する

固定資産税の納税通知書や、市区町村の資産税課で評価証明書を取得し、不動産の評価額を把握しましょう。

これが相続税の計算や遺産分割協議の基礎資料になります。

3年のタイムリミットを意識する

カレンダーに「相続を知った日から3年後」の日付をマークしておきましょう。

この期限を意識して、逆算で手続きを進めることが大切です。

期限内に間に合わないと判断したら、早めに相続人申告登記を検討しましょう。


よくある質問

Q:相続登記をしないと本当に過料を取られるのですか?

A:はい、正当な理由なく3年を過ぎると、10万円以下の過料の対象になります。ただし、いきなり過料が科されるわけではなく、法務局から催告書が届き、それでも対応しない場合に過料手続きに進むと考えられています。

Q:亡くなった父名義の不動産が地方にあります。遠くて手続きが大変なのですが…

A:登記申請は郵送でも可能ですし、司法書士に依頼すればオンラインで申請できます。遠方だからといって放置せず、専門家に相談してください。

Q:相続人申告登記をした後、いつまでに正式な相続登記をすればいいですか?

A:相続人申告登記後に遺産分割協議がまとまったら、そこから3年以内に正式な相続登記をする必要があります。

Q:相続人の中に認知症の人がいる場合はどうなりますか?

A:判断能力が低下している相続人がいる場合、成年後見制度を利用する必要があります。この手続きにも時間がかかるため、早めに家庭裁判所や専門家に相談してください。


まとめ

相続登記義務化で「3年以内」という期限が設けられましたが、現実には3年で終わらない相続も多く存在します。

大切なのは、期限を過ぎそうだからといって諦めたり放置したりせず、相続人申告登記や正当な理由の主張といった制度を活用することです。

80代の親御さんをお持ちの40代の皆さんは、今が準備のタイミングです。

不動産の確認、家族での話し合い、専門家への相談――できることから始めてみてください。

「まだ元気だから大丈夫」ではなく、「元気なうちに準備する」ことが、将来の安心につながります。

相続登記でお困りのこと、不安なことがございましたら、お気軽に相続専門の司法書士にご相談ください。一緒に最適な方法を考えていきましょう。


【参考記事URL】
https://news.yahoo.co.jp/articles/e4abbbbef0201b75df7bdc934a3be4b028e5be40


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