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遺言書のお話

2026年05月28日

2024年税制改正で相続対策が変わる!相続時精算課税制度の新常識と80代の親を持つ40代が今すぐ知るべきこと

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

2024年の税制改正により、相続対策の常識が大きく変わりました。特に注目されているのが「相続時精算課税制度」の大幅な見直しです。これまで一部の富裕層や事業承継向けとされてきたこの制度が、一般家庭でも使いやすい現実的な選択肢へと生まれ変わりました。

80代のご両親をお持ちの40代の皆さんにとって、この改正は見逃せない重要なポイントです。本記事では、相続遺言専門の司法書士の視点から、新しい制度の内容、活用方法、そして注意点について、わかりやすく解説していきます。


相続時精算課税制度とは何か

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫へ財産を贈与する際に選択できる制度です。

通常の贈与(暦年課税)では、年間110万円までが非課税となり、それを超える部分には贈与税がかかります。一方、相続時精算課税制度を選択すると、累計2500万円までの贈与が非課税となり、それを超えた部分には一律20パーセントの贈与税がかかります。

そして相続が発生した際に、これまでに贈与した財産をすべて相続財産に持ち戻して、相続税を計算するという仕組みです。すでに支払った贈与税は、相続税から差し引かれます。

これまでのこの制度の最大の問題点は、贈与した財産が相続時にすべて持ち戻されてしまう点でした。つまり、税負担の軽減効果がほとんどなく、単なる納税の先送りに過ぎないとされていたのです。

そのため、一般家庭では「使いにくい制度」として敬遠されてきました。


2024年改正で何が変わったのか

今回の税制改正により、相続時精算課税制度に「年110万円の基礎控除」が新設されました。この変更が、制度の性質を根本から変えたのです。

最大のポイントは、この110万円分が相続時に持ち戻されないという点です。つまり、毎年110万円までは、純粋な非課税枠として活用できるようになりました。

これにより、相続時精算課税制度を選択しても、暦年課税と同じように毎年110万円ずつ非課税で資産を移転できるようになったのです。

さらに重要なのが、この110万円は「相続開始前7年ルール」の対象外であるという点です。

暦年課税の場合、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されるというルールがあります。しかし、相続時精算課税の基礎控除分については、このルールが適用されません。

つまり、親御さんの体調が心配になってからでも、相続直前であっても、確実に110万円を非課税で移転できるということです。これは実務上、非常に大きなメリットといえます。


ハイブリッド贈与で年間220万円の非課税枠

さらに注目すべきなのが、「ハイブリッド贈与」と呼ばれる手法です。

贈与税の課税方式は、贈与者ごとに選択できるというルールがあります。この仕組みを活用すれば、父母で異なる課税方式を選択することが可能です。

具体的には次のようなパターンです。

父からの贈与は相続時精算課税を選択し、年110万円を非課税で受け取る。この110万円は持ち戻し不要です。

母からの贈与は暦年課税のままとし、年110万円を通常の非課税枠として受け取る。

これにより、合計で年間220万円まで非課税で贈与を受けることができます。

ただし注意が必要なのは、母からの暦年贈与については、従来どおり相続開始前7年ルールが適用されるという点です。つまり、母が亡くなる7年前以降の贈与分は、相続財産に持ち戻されることになります。

一方、父からの相続時精算課税分の110万円は、相続直前であっても持ち戻されません。

このように、両制度のメリットを組み合わせることで、より柔軟な相続対策が可能になったのです。


80代の親を持つ40代が今考えるべき理由

なぜ今、80代のご両親をお持ちの40代の方が、この制度について考えるべきなのでしょうか。

理由の一つは、時間的な制約です。

親御さんが80代ということは、相続はそう遠くない将来に発生する可能性があります。暦年贈与で時間をかけて資産を移転するには、すでに時間が限られています。

しかも、暦年贈与には相続開始前7年ルールがあるため、相続が近づいてからの贈与は持ち戻されてしまいます。

一方、相続時精算課税制度であれば、年110万円の基礎控除分は相続直前であっても持ち戻されません。つまり、今から始めても確実に効果が得られるのです。

もう一つの理由は、認知症のリスクです。

厚生労働省の推計によれば、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると予測されています。80代ともなれば、そのリスクはさらに高まります。

認知症が進行し、判断能力が低下してしまうと、贈与契約そのものが法的に結べなくなります。成年後見人を立てたとしても、贈与のような本人の財産を減らす行為は、原則として認められません。

つまり、相続対策ができるのは、親御さんが元気なうちだけなのです。

「まだ大丈夫」「まだ早い」と思っているうちに、気づけば対策のチャンスを逃してしまうケースを、実務の現場では数多く見てきました。

今回の税制改正は、時間的な制約がある方にとって、大きなチャンスといえます。


相続時精算課税制度の注意点とデメリット

メリットばかりを強調してきましたが、この制度には注意すべき点やデメリットも存在します。

まず、一度相続時精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与については二度と暦年課税に戻ることができません。この点は非常に重要です。

また、相続時精算課税を選択した場合、たとえ年110万円以下の贈与であっても、贈与税の申告が必須となります。暦年課税であれば110万円以下なら申告不要ですが、相続時精算課税では毎年の申告手続きが必要です。

不動産を贈与する場合には、さらに注意が必要です。

不動産を贈与する際には、登録免許税と不動産取得税がかかります。これらの税率は、相続で取得する場合よりも高く設定されています。

登録免許税は、相続の場合は固定資産評価額の0.4パーセントですが、贈与の場合は2パーセントです。また不動産取得税は、相続の場合は非課税ですが、贈与の場合は原則として3パーセントかかります。

そのため、不動産については「今贈与すべきか、相続まで待つべきか」を慎重にシミュレーションする必要があります。

また、年110万円の基礎控除を超えた部分については、従来どおり相続時に持ち戻されます。つまり、基礎控除の範囲内で計画的に贈与することが重要です。

さらに、相続時精算課税には別途2500万円の特別控除枠がありますが、この部分の贈与は相続財産に持ち戻されることも忘れてはいけません。


誰に何をどのタイミングで贈与するか

相続対策を考える際に最も重要なのが、「誰に、何を、どのタイミングで贈与するか」という視点です。

例えば、現金や預貯金であれば比較的自由に分けられますが、不動産や自社株式などは分割が難しく、誰に渡すかで将来の相続に大きな影響を与えます。

また、贈与する相手によっても最適な方法は変わります。

子どもが複数いる場合、一人だけに贈与すると他の子どもとの間で不公平感が生まれ、将来の相続トラブルにつながる可能性があります。

一方で、事業を継がせたい子どもや、親の介護を担う子どもに多く財産を渡したいというニーズもあるでしょう。

そうした場合には、遺言書や家族信託などの他の制度も組み合わせて、総合的な対策を考える必要があります。

贈与のタイミングについても、相続税の税率、贈与税の税率、そして相続までの期間などを総合的に判断する必要があります。

一律に「こうすべき」という正解はなく、各家庭の状況に応じたオーダーメイドの対策が求められるのです。


相続対策は元気なうちに始めるべき理由

実務の現場で痛感するのが、「元気なうちに対策を始めることの重要性」です。

相続対策には、贈与だけでなく、遺言書の作成、家族信託の設定、生命保険の活用、不動産の整理など、さまざまな選択肢があります。

しかし、これらの対策はすべて、本人に判断能力があることが前提となります。

認知症が進行してしまうと、遺言書の作成も、贈与契約も、家族信託の設定もできなくなります。成年後見制度を利用することはできますが、後見人ができるのは「本人の財産を守ること」であり、「相続税対策で財産を減らすこと」ではありません。

つまり、対策のチャンスは今しかないのです。

また、相続対策は一度決めたら終わりではありません。税制改正や家族の状況変化に応じて、定期的に見直す必要があります。

そのためにも、早めに専門家と関係を築き、継続的に相談できる体制を作っておくことが重要です。


専門家に相談するメリット

相続対策は複雑で、税法だけでなく民法、不動産登記、信託法など、多岐にわたる知識が必要です。

インターネットや書籍で情報を集めることはできますが、それをご自身の状況に正しく当てはめるのは容易ではありません。

専門家に相談するメリットは、単に知識を得ることだけではありません。

客観的な視点から、家族構成、財産の種類、将来の見通しなどを総合的に分析し、最適なプランを提案してもらえることです。

また、家族間で意見が対立した際に、中立的な立場からアドバイスをもらえることも大きなメリットです。

相続は、単なる財産の移転ではありません。家族の絆を守り、次の世代に円満に財産を引き継ぐための大切なプロセスです。

そのためには、早めの準備と、信頼できる専門家のサポートが不可欠です。


まとめ

2024年の税制改正により、相続時精算課税制度は「使える制度」へと大きく生まれ変わりました。

年110万円の基礎控除が持ち戻し不要となり、相続直前でも活用できる点は、時間的な制約がある方にとって大きなメリットです。

さらに、父母で課税方式を使い分けるハイブリッド贈与により、年間220万円の非課税枠を作ることも可能です。

ただし、一度選択すると撤回できない、申告が必須になる、不動産の場合は登記費用が高くなるなど、注意点も多くあります。

80代のご両親をお持ちの40代の皆さんにとって、今回の改正は大きなチャンスです。しかし、対策ができるのは親御さんが元気なうちだけです。

「まだ早い」と思っているうちに、気づけばチャンスを逃してしまうケースを、実務の現場では数多く見てきました。

まずは現状を把握し、ご家族の状況に合った最適なプランを考えることから始めてみてください。

そして少しでも不安があれば、早めに専門家に相談することをお勧めします。将来の安心は、今の行動から始まります。

参考記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/7fe827a5406cb92592cb3745bd341508da416695


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