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遺言書のお話

2026年06月03日

成年後見制度が大きく変わる!80代の親を持つ40代が知っておくべき改正ポイントと相続対策

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

はじめに

「親が認知症になったらどうしよう」―80代のご両親をお持ちの40代の方なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

日本は2025年には高齢者の5人に1人が認知症を発症すると予測されており、他人事ではない時代になっています。そんな中、認知症患者の財産と生活を守るために設けられた「成年後見制度」が、2026年に大きく変わろうとしています。

今回は、相続遺言専門の司法書士として、この制度改正のポイントと、80代の親を持つ40代の方が今から備えておくべきことをお伝えします。


成年後見制度とは何か

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない方を法的に支援する制度です。本人に代わって、不動産の売却、遺産相続の手続き、施設入所の契約などを行うことができます。

制度には大きく2種類あります。

任意後見制度:本人が判断能力のあるうちに、あらかじめ後見人を選んでおく制度
法定後見制度:判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が後見人を選任する制度

認知症と診断された後に利用するのは、ほとんどが「法定後見制度」です。広島県のデータでは、利用者5,728人のうち法定後見が5,669人と圧倒的多数を占めています。


これまでの成年後見制度の問題点

実はこの制度、利用者やその家族から「使いにくい」という声が多く上がっていました。主な問題点は以下の通りです。

一度始めたらやめられない「終身制」

制度を利用すると、本人が亡くなるまで後見人がつき続けます。たとえ「不動産を売却するためだけに使いたい」と思っても、その後もずっと財産管理が続きます。

日常生活まで管理される息苦しさ

ある利用者の例では、夫の認知症のために制度を利用したところ、日々の買い物のレシートをすべて保管し、毎月後見人に提出することを義務付けられました。家計を他人に監視されるストレスは相当なものです。

後見人を選べない

「妻である自分が夫の後見人になりたい」と思っても、家庭裁判所が選ぶのは弁護士や司法書士などの専門職がほとんど。現在、後見人の8割以上が専門職です。特に不動産売却が目的の場合、親族が選ばれることはまずありません。

報酬が資産額で決まる不公平

後見人への報酬が、本人の資産額に応じて決まっていました。そのため、「施設に一度も面会に来ない後見人」がいても、資産が多ければ高額の報酬が支払われるという不公平が生じていました。


民法改正で何が変わるのか

2026年に閣議決定された民法改正案により、以下の点が大きく変わります。

スポット利用が可能に

必要なときだけ、必要な部分のサポートを受けられるようになります。例えば「遺産分割協議のときだけ」「不動産売却の手続きの間だけ」といった利用が可能です。

報酬が業務内容ベースに

これまでの「資産額ベース」から「実際に行った業務内容」で報酬が決まるようになります。面会もせず書類だけ処理する後見人は淘汰されていくでしょう。

本人の意向を尊重

法律の条文に「本人の意向を尊重する」ことが明記されます。後見人が独断で財産を保全するのではなく、本人の望む生活を実現するための支援が求められます。


改正後も変わらない大切なこと:早めの準備

制度が改善されることは喜ばしいことですが、どんなに制度が良くなっても「事前の備え」に勝るものはありません。

親が元気なうちにやっておくべきこと

資産の見える化
親がどこにどんな財産を持っているか、通帳や権利証の場所を家族で共有しておきましょう。いざというとき、どこに何があるかわからないと手続きが大変です。

遺言書の作成
自筆証書遺言でも公正証書遺言でも構いません。親の意思を明確にしておくことで、相続時のトラブルを防げます。

エンディングノートの活用
財産のことだけでなく、延命治療の希望、葬儀の形式、伝えたいメッセージなどを書き残しておくと、家族が迷わずに済みます。

家族信託の検討
認知症になる前に、信頼できる家族に財産の管理を託す「家族信託」も選択肢の一つです。成年後見制度よりも柔軟な財産管理が可能です。

任意後見契約の締結
判断能力があるうちに、信頼できる人と任意後見契約を結んでおけば、自分で後見人を選ぶことができます。


40代の今だからできること

親との対話を始める

「縁起でもない」と避けがちな話題ですが、親が80代なら現実的に考えるべき時期です。「最近ニュースで成年後見制度のことやってたんだけど」と自然な形で話題にしてみましょう。

専門家に相談する

司法書士、弁護士、税理士、ファイナンシャルプランナーなど、相続に詳しい専門家に早めに相談しましょう。状況に応じた最適な対策を提案してもらえます。

兄弟姉妹と情報共有

親の介護や相続について、兄弟姉妹で認識がずれていると後々トラブルになります。定期的に情報を共有し、方針を話し合っておきましょう。

自分自身の老後も考える

親の準備をしながら、自分自身の老後についても考えるきっかけにしましょう。40代は、老後資金の準備を本格化させる大切な時期です。


まとめ

成年後見制度の改正は、利用者本位の大きな一歩です。「やめられない」「使いにくい」という問題が解消されることで、より多くの方が安心して制度を利用できるようになるでしょう。

しかし、どんなに制度が良くなっても、認知症になってからでは選択肢が限られます。親が判断能力のあるうちに、資産の整理、遺言書の作成、家族との対話を進めておくことが何より大切です。

80代のご両親をお持ちの40代の皆さん、今が「家族で話し合う」ベストタイミングです。少し勇気を出して、最初の一歩を踏み出してみませんか。

参考記事
やめたくてもやめられない!? 認知症患者と家族を苦しめる成年後見制度の落とし穴
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/174cc8b86b81fd1f4551310e79a167064600cffc

成年後見制度見直しで「一度も本人に面会に来ない」後見人は淘汰される
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/645e86c754be1eb48dbaf2dd36ea37cdf141f0cd

成年後見の終身制廃止、衆院通過 民法改正案、スポット利用可能に
https://news.yahoo.co.jp/articles/49847316c18a1af0ab5395c7b5d2512583f7a103


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