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遺言書のお話

2026年06月15日

介護を任せていた妹が3000万円使い込み?相続トラブルを防ぐために80代の親を持つ40代が今すぐすべきこと

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

はじめに

あなたは、ご両親の介護を誰かに任せきりにしていませんか?
遠方に住んでいる、仕事が忙しい、実家には兄弟がいるから…そんな理由で、親の介護や財産管理を一人に任せてしまっているとしたら、今すぐこの記事を読んでください。

先日、Yahoo!ニュースでこんな衝撃的な記事が配信されました。
30年間、両親の介護を妹に任せていた兄が、両親の死後に相続手続きを始めたところ、3000万円以上あったはずの遺産が数百円になっていた。
妹に問い詰めると「介護していたのは私でしょ? 私が使って何が悪いの?」と開き直られた、というものです。

これは決してドラマや小説の話ではありません。
相続・遺言専門の司法書士として、私は似たようなケースを何度も見てきました。

今回は、この記事を題材に、80代の親を持つ40代のあなたが今すぐ知っておくべき相続の現実と、家族を守るための具体的な対策をお伝えします。


なぜ介護をしていた人が財産を使い込むのか?

この事例では、妹が30年間にわたって両親の介護を一手に引き受けていました。
兄は「実家にいる妹に任せた方が安心だと思った」と振り返っていますが、妹の側から見れば「面倒ごとを押し付けられた」という思いがあったのかもしれません。

介護は、想像以上に大変です。
身体的な負担だけでなく、精神的なストレス、自由な時間の喪失、キャリアの中断、経済的な負担…。
そして何より辛いのは「一人だけが背負っている」という孤独感と不公平感です。

そんな状況で、親の通帳や印鑑を管理する立場にあったら、どうなるでしょうか?

「私だけが苦労しているのに、他の兄弟は何もしてくれない」
「これは私への当然の報酬だ」
「生活費と少しくらいの謝礼は許されるはずだ」

そんな思いが、少しずつ財産の使い込みへとつながっていくのです。

最初は数万円の生活費として。
次第に10万円、50万円、100万円…。
そして気づけば3000万円以上が消えていた。

これが、相続の現場で実際に起きている現実です。


相続発生後では手遅れ:法的手段の限界

では、このようなケースで兄は妹から遺産を取り戻せるのでしょうか?

結論から言うと、非常に難しいのが現実です。

民法上、相続人の一人が被相続人(亡くなった人)の財産を無断で使い込んだ場合、他の相続人はその返還を求めることができます。
しかし、それを証明するのは容易ではありません。

「生活費として使った」
「介護費用として必要だった」
「親の了承を得ていた」

こうした主張をされると、使い込みの事実を立証するのは困難です。
特に、親本人がすでに亡くなっている場合、「親が了承していたかどうか」を確認する術がありません。

また、仮に使い込みが認められたとしても、すでに使ってしまったお金を回収するのは現実的に難しいケースが多いのです。

つまり、相続が発生してから対応しようとしても、もう手遅れなのです。


80代の親を持つ40代が今すぐ確認すべき3つのポイント

では、このような悲劇を防ぐために、今何をすべきでしょうか?

ポイント1:親の財産状況を定期的に把握する

まずは、親の財産がどうなっているかを知ることです。
「親のお金のことを聞くなんて…」と躊躇する方もいますが、これは決して失礼なことではありません。
むしろ、親を守り、家族の将来を守るために必要なことです。

具体的には次のような方法があります。

・年に1〜2回、親と一緒に通帳記帳をする
・定期的に通帳のコピーを共有してもらう
・ネットバンキングの閲覧権限を家族で共有する
・家族会議で財産状況を透明化する

重要なのは、一人だけが管理するのではなく、家族全員で情報を共有することです。

ポイント2:介護の負担を可視化し、公平に分担する

介護を一人に任せきりにしないことが、何より重要です。

もちろん、物理的に介護ができない状況もあるでしょう。
遠方に住んでいる、仕事が忙しい、家庭の事情がある…。

しかし、「介護ができない」ことと「何もしない」ことは違います。

たとえば次のような関わり方があります。

・月に一度は帰省して様子を見る
・介護費用を金銭的にサポートする
・介護サービスの手配や行政手続きを分担する
・定期的に電話やビデオ通話で様子を確認する
・感謝の言葉を伝え、労いの気持ちを形にする

介護をしている人が「一人で背負っている」という孤独感を持たないようにすることが、使い込みを防ぐ最大の予防策です。

ポイント3:法的対策を早期に実施する

そして最も確実な方法が、法的な対策を事前に講じておくことです。

具体的には次のような方法があります。

遺言書の作成
親に遺言書を作成してもらうことで、誰に何を相続させるかを明確にできます。
特に「介護をしてくれた人に多めに残したい」という親の意思があれば、それを形にすることで後のトラブルを防げます。

家族信託の活用
家族信託とは、親が元気なうちに財産の管理を信頼できる家族に託す仕組みです。
これにより、親が認知症になっても財産が凍結されず、適切に管理できます。
また、使い道を明確にすることで、使い込みの防止にもつながります。

任意後見契約
将来、親が認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、誰が後見人になるかを事前に決めておく制度です。
これにより、家庭裁判所が選任する第三者後見人ではなく、家族が財産管理を行うことができます。

成年後見制度の利用
すでに親の判断能力が低下している場合は、成年後見制度を利用することで、家庭裁判所が選任した後見人が適切に財産を管理します。

これらの対策は、親が元気なうちに、判断能力があるうちに行う必要があります。
認知症が進行してからでは、遺言書も家族信託も作成できなくなってしまいます。


介護は「投資」ではなく「家族の責任」

この記事を読んで、もう一つ考えていただきたいことがあります。

それは「介護は投資ではない」ということです。

「私が介護したんだから、遺産は多くもらって当然」
「他の兄弟は何もしなかったんだから、遺産はいらないはず」

こうした考え方は、家族を崩壊させます。

もちろん、介護の負担は大きく、その貢献は正当に評価されるべきです。
民法にも「寄与分」という制度があり、特別な貢献をした相続人は遺産を多く受け取ることができます。

しかし、それは法的な手続きを経て、正当に主張すべきものです。
勝手に親の財産を使い込んで「これは私の報酬だ」と主張することは、決して許されません。

介護は、家族としての責任であり、親への感謝の表れです。
それを「見返り」と結びつけてしまうと、家族関係は歪んでしまいます。


相続は「争続」にならないための準備が9割

相続トラブルの多くは、事前の準備不足から生まれます。

「うちの家族は仲がいいから大丈夫」
「そんなに財産もないし、揉めることはない」
「まだ親は元気だから、先の話だ」

こうした油断が、取り返しのつかない事態を招くのです。

相続は、準備が9割です。
遺言書、家族信託、財産目録、家族会議…。
今できることを、今のうちに始めてください。

そして何より大切なのは、家族で話し合うことです。
お金の話はタブー視されがちですが、だからこそきちんと向き合う必要があります。


まとめ:今すぐ行動を

30年間介護を任せた妹が3000万円を使い込んだ。
この事例は、決して他人事ではありません。

80代の親を持つ40代のあなたが、今すぐすべきことは次の3つです。

1. 親の財産状況を把握し、家族で情報を共有する
2. 介護の負担を可視化し、できる範囲で分担・サポートする
3. 遺言書や家族信託などの法的対策を早期に実施する

相続が発生してからでは、もう遅いのです。

もし少しでも不安を感じたら、専門家に相談してください。
相続・遺言の専門家は、あなたの家族を「争続」から守るためのサポートをします。

家族の絆を守るために。
そして、親が残してくれた財産を、本当の意味で「相続」するために。

今、行動を始めましょう。

参考記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/b70a7a1733938db49acfe2a94c6bfa1286b56af2

プロフィール:繁森一徳
(司法書士しげもり法務事務所代表司法書士)
岡山県出身。岡山大安寺高等学校卒業、関西学院大学法学部卒業。現在は、大阪市の天王寺・上本町を拠点に、相続・遺言・生前贈与・民事信託(家族信託)に特化した法的支援を展開。地域に根差した活動も行っており、天王寺区や東成区などの各区役所・区民センターなどで、無料相談会の開催実績多数。

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