大阪の遺言書作成|司法書士ゆいごんのしげもり

電話番号電話番号
メールで遺言書作成のご相談メールで遺言書作成のご相談
LINEで遺言書作成のご相談
トップ当事務所の強み料金事務所案内アクセスよくあるご質問遺言書作成事例お客様の声
大阪の遺言書作成専門の司法書士大阪の遺言書作成専門の司法書士
トップ当事務所の強み事務所案内アクセス
料金よくあるご質問遺言書作成事例お客様の声

遺言書のお話

2025年05月18日

メガ共有から浮き彫りになる相続登記の現実と課題・司法書士の現場から!

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

※にぼにぼ第二弾花びらチャーシュー煮卵パカ

「メガ共有」が浮き彫りにする相続登記の現実と課題──義務化1年、司法書士の現場から見えること



【はじめに】  

2024年4月にスタートした「相続登記の義務化」。相続によって不動産を取得した人は、原則3年以内に相続登記を行わなければならず、怠った場合には10万円以下の過料が科されることになりました。この法改正は、これまで放置されがちだった不動産の登記手続きを促進し、所有者不明土地の解消を目指すものです。



しかし、制度がスタートして1年が経った今、現場ではさまざまな課題が浮かび上がっています。中でも注目すべきなのが、相続人が数十人、あるいは100人以上にもおよぶ「メガ共有」の問題です。このブログでは、報道された具体的な事例をもとに、「メガ共有」がなぜ起こるのか、どのような問題があるのか、そして司法書士としてどのような対応が求められるのかについて、じっくり掘り下げていきます。



【ニュース事例:相続人58人の「メガ共有」】  

ある女性が経験したのは、まさに「メガ共有」の現実でした。2023年1月に父親を亡くし、相続手続きに着手する中で、母親(83歳)の実家の不動産について、登記上の名義が昭和6年に亡くなった母の祖父と母の共有となっていることが発覚。すでに亡くなっている名義人の持ち分は、その法定相続人たちに自動的に分割・継承され、気づけば母を除いて58人の相続人が存在していたのです。



この不動産は山間部にあり、資産価値も不透明。売却の見込みも低い中で、母がこれまで固定資産税を支払い、実質的に管理をしてきた現状を踏まえ、名義を母に統一しようとしました。しかし、58人全員の同意を得なければ登記を変更できないため、手紙で事情を説明し、名義の譲渡に協力を求めたものの、返送された手紙や「同意しない」と明言する相手もいたといいます。



このように、多人数による共有状態では、連絡が取れない相続人がいるだけで手続きが進まず、場合によっては家庭裁判所への調停申立てが必要となることも。それに伴う費用や時間、精神的な負担は計り知れません。



【なぜ「メガ共有」が生まれるのか?】  

こうした「メガ共有」は、偶発的なものではなく、制度の構造的な問題が背景にあります。日本の相続制度では、登記をしなくても人が亡くなれば自動的に法定相続が発生します。そして、登記が放置されればされるほど、相続の世代が増え、持ち分が細分化し、関係者の数が雪だるま式に膨れ上がるのです。



例えば、昭和初期に亡くなった方が登記上の名義人になっており、その方に子が10人いたとしましょう。その子がそれぞれ亡くなり、さらに孫世代に相続が進んでいけば、相続人は50人、100人と増えていきます。何世代も前の相続が未登記のまま連鎖的に続けば、現代の相続人を特定するだけでも膨大な調査が必要になり、登記どころではなくなってしまいます。



【司法書士の現場でも頻発する「名義人不明」問題】  

私の事務所でも、こうした「メガ共有」に近いケースのご相談は年々増えています。特に多いのが、地方の空き家や山林、農地などで、数十年にわたり実家を放置していたケース。登記簿を調べると、すでに亡くなった祖父母が名義人になっていて、相続人が10人、20人に及んでいるということが珍しくありません。



さらに、相続人の中には海外在住者や、そもそも連絡がつかない人も含まれていることもあります。住民票が既に消除されていたり、本籍地が不明になっていたりする場合、調査だけで数か月かかることもあります。そして何より、仮に相続人を特定できたとしても、「興味がない」「譲渡に応じたくない」といった反応を示されれば、そこから先に進めることができません。



【法改正の趣旨と、現場とのギャップ】  

相続登記の義務化は、放置された土地の有効活用や、所有者不明土地問題の解消を目的とした制度です。制度の意義そのものは非常に大きく、評価できる取り組みです。  

しかし、現場の実務者として痛感するのは、「制度と現実とのギャップ」です。



制度は「3年以内に登記をしましょう」と言いますが、その前提として「相続人が全員協力的で、手続きがスムーズに進むこと」が暗黙の了解となってしまっています。実際にはそう簡単にいかない事情があるからこそ、登記が長年放置されてきたわけであり、そこに罰則を与えれば解決するというものではありません。



【高齢者支援の視点から見える“苦悩”】  

今回のニュースに登場した83歳の女性もそうですが、「メガ共有」に直面する多くの方は、すでに高齢となっており、自分の代でしっかりと不動産の整理をしておきたいという思いを持っています。特に地方に住む方にとっては、「誰も住んでいないけど、思い出のある家」「毎年固定資産税だけ払っている土地」が重くのしかかっており、「いずれ子どもに迷惑をかけたくない」という声をよく聞きます。



にもかかわらず、手続きが複雑で、協力を得るのも難しく、最終的には弁護士や家庭裁判所を頼るしかない。経済的な負担だけでなく、精神的にも疲弊してしまうケースもあります。高齢者が安心して終活を進めるためには、もっと現実に即した制度設計が必要だと感じます。



【今後の課題と制度的改善の必要性】  

こうした問題を解決するためには、いくつかの制度的アプローチが考えられます。



1. **相続人調査の簡略化と公的支援の充実**  

戸籍調査に時間や費用がかかりすぎる現状に対し、行政が一元的に支援する仕組みが必要です。オンラインでの一括取得や、司法書士による代理取得の手続きを簡素化することが求められます。



2. **「不明相続人」に関する登記手続きの特例化**  

行方不明の相続人がいる場合、一定の手続きを経れば登記が可能となる「特別代理制度」などの柔軟な仕組みの導入が必要です。現行でも「不在者財産管理人」などの制度がありますが、利用のハードルが高すぎるという課題があります。



3. **「所有者不明土地管理制度」の積極活用**  

2023年に創設されたこの制度では、所有者不明の不動産を家庭裁判所の許可のもと管理人が処分することができます。今後、この制度をメガ共有の解決にも積極的に活かすべきです。



4. **簡易登記制度の導入**  

相続人が多数にのぼるが争いがない場合、簡易な手続きで代表者に登記が可能となるような制度の検討も一つの方向性です。



【まとめ:今こそ「相続の先送り」を見直すとき】  

「相続は、まだ先のことだから」「家族内で話がまとまっていないから」といって先送りにすればするほど、状況は複雑化していきます。そして、最終的にそのツケを払うのは、次の世代であるご家族です。



相続登記の義務化は、登記を促すための“きっかけ”としては有効です。しかし、制度だけでは解決できない問題が現場には数多く存在します。司法書士としてできることは、こうした問題を丁寧にヒアリングし、複雑な状況を少しずつ解きほぐしていくことだと考えています。



大阪市やその近隣にお住まいの方で、相続や登記についてお悩みの方は、どうか一人で悩まず、専門家にご相談ください。粘り強く、そして親身に、最適な解決策をご一緒に探していきます。

 


――――――――――――  

司法書士しげもり法務事務所  

繁森 一徳(しげもり かずのり)  

大阪市にて相続・高齢者支援を専門に活動中  

高齢の親御さんをもつご家族、相続で悩まれている方へ  

「安心と納得の相続」を一緒に考えていきましょう。  


遺言書作成のメリット遺言書作成のメリット
遺言書で守れるもの遺言書で守れるもの
遺言書の種類と選び方遺言書の種類と選び方
遺言の執行遺言の執行
遺言の撤回・変更遺言の撤回・変更
自筆証書遺言書保管制度自筆証書遺言書保管制度
おひとり様の遺言書おひとり様の遺言書
子供がいない夫婦の遺言書子供がいない夫婦の遺言書
デジタル遺品とはデジタル遺品とは
ペット遺言ペット遺言
遺言書のお話し遺言書のお話し


ゆいごんのしげもり公式LINEアカウントゆいごんのしげもり公式LINEアカウント

YouTubeしげもりチャンネルYouTubeしげもりチャンネル

初めての遺言書作成ガイド

 子供がいない夫婦のための遺言書作成ガイド

おひとり様のための遺言書作成ガイド

 ペットのための遺言書作成ガイド
大阪で遺言書作成の無料相談