※濃い目の醤油に肉厚チャーシュー太麺
# 父の死後、相続で億万長者に──世界的メガネブランド御曹司の話から考える「相続」と「人生の節目」
## はじめに
「父の死後、億万長者になった若者」と聞くと、どこか遠い世界の話のように思えるかもしれません。しかし、今回取り上げるのは、レイバンなどのブランドで知られる世界最大の眼鏡会社「エシロールルックスオティカ」の創業者の息子、レオナルド・マリア・デル・ヴェッキオ氏の相続の話。世界的な事業と莫大な遺産という規模は桁違いでも、「相続」というキーワードは、私たち一般市民にとっても避けられない現実です。
この記事では、このニュースを入り口に、相続とは何か、私たちにとってどのように向き合うべきテーマなのかを、高齢者支援・相続分野に携わる司法書士としての視点から掘り下げてみたいと思います。
## 1.世界的ブランド創業者の死と「巨額相続」
レオナルド・デル・ヴェッキオ氏は、1935年にイタリア・ミラノで生まれ、幼少期は児童養護施設で育ちました。工具工場での下積みを経て、1958年に小さな眼鏡部品工場を立ち上げたのが、現在の世界的大企業の始まりです。その後、名だたるブランドとライセンス契約を結び、「アイウェア業界の王」と呼ばれる存在になりました。
2022年に亡くなった際の個人資産は約3兆3500億円。そして、6人の子どもたちに等しく12.5%ずつ、遺産を分割するかたちで相続されたと言われています。
このような「事業承継」と「財産の分配」がきちんと機能していた背景には、当然ながら法的な準備、家族間の調整、税務面への配慮などがあったことでしょう。これを私たちの身近な生活に置き換えたとき、果たしてどれだけの人が同じように「相続の準備」をできているでしょうか?
## 2.「相続」は富裕層だけの話ではありません
「そんなに財産がないから、うちは関係ない」
「兄弟仲もいいし、特に心配はしていない」
こういった声をよく耳にします。しかし、実務の現場では、「財産が少ないご家庭」「仲が良いと思っていた家族」でこそ、相続トラブルが起きやすいという現実があります。
理由は単純です。
・少ない財産ほど「取り分」が敏感に感じられる
・事前の話し合いがされていないと、誤解や不信が生まれやすい
・相続手続きの知識が不足していると、戸惑いが大きくなる
結果として、せっかく築いてきた家族の信頼関係が、相続を機に崩れてしまうケースも少なくありません。
## 3.相続で揉めないために大切な「3つの準備」
私が相談を受ける際に、特に大切だと感じているのが、以下の3つの準備です。
### (1)遺言書の作成
もっとも基本的で、もっとも効果的な対策です。
公正証書遺言であれば、形式の不備で無効になる心配もなく、信頼性も高い。遺言書があることで、遺産分割協議が不要になる場合もあり、家族の負担を大きく減らすことができます。
### (2)家族信託の活用
最近注目されている「家族信託」は、高齢者の財産を、信頼できる家族に託して管理・運用してもらう制度です。認知症などにより判断能力が低下する前に設定しておくことで、将来的な財産凍結のリスクを回避できます。
### (3)相続人同士の事前の話し合い
最も難しく、しかし最も重要なのが、家族間での「事前のコミュニケーション」です。
「私が亡くなったあと、こうしてほしい」
「この土地は○○に継いでほしい」
財産の話はタブーとされがちですが、元気なうちだからこそ伝えられる“気持ち”があります。感情のすれ違いが争いを生むこともあるからこそ、早めの対話が大切です。
## 4.名義変更をしないと「空き家問題」にもつながる
最近、国でも問題視されている「所有者不明土地」や「放置された空き家」。実はこれも、相続登記が放置されたことが大きな要因となっています。
2024年からは「相続登記の義務化」がスタートし、遺産を相続した場合は、原則3年以内に名義変更をしなければならなくなりました。これに違反すると過料(罰金)も発生します。
司法書士として、これまでも多くの登記手続をサポートしてきましたが、「名義を変えるだけ」と思われがちなこの手続きにも、戸籍収集、遺産分割協議書の作成、相続人調査など、専門的な知識と手間が必要です。相続の手続きは、できれば専門家に任せることをおすすめします。
## 5.相続は「亡くなった人」だけでなく、「遺される人」の物語
今回のニュースに登場するレオナルド・マリア・デル・ヴェッキオ氏のように、事業と資産を継いでいく立場にある方は、当然、重い責任と期待を背負います。
日本でも、たとえ中小企業や個人事業主であっても、後継者がどう受け継ぐか、誰が何を引き継ぐかは非常に重要なテーマです。
「家業を継ぐのは長男だろう」
「同居している子が面倒を見るんだから多めに」
そんな“感覚的な期待”が、時に家族間の火種となることもあります。
相続とは、単にお金の分配ではなく、「家族の思い」「親の価値観」「将来への橋渡し」を含んだ、非常に人間的な営みだと、私は日々のご相談を通じて感じています。
## 6.高齢者とそのご家族へ──「やさしく、正直に」話し合う時間を
高齢の親御さんがいらっしゃるご家庭に、ぜひお伝えしたいのは、「遺言は、親のエゴではない」ということです。
むしろ、親が遺言を通じて「子どもたちに争ってほしくない」「私の思いを残したい」と考えることは、とても自然で温かい感情です。
だからこそ、子どもの立場からも「そろそろ相続のこと、話しておこうか」と、やさしく、でも一歩踏み込んで声をかけてみてください。
それが、将来の大きな安心につながります。
## 7.まとめ──「相続」は人生最後のメッセージ
デル・ヴェッキオ一族のような超大富豪の話は、スケールこそ違えど、私たちにとって「相続」を考える良いきっかけになります。
・相続は誰にでも起こる現実
・準備をしておくことが、家族への最大のやさしさ
・相続はお金の話だけでなく、人生の価値観をつなぐ営み
司法書士として私が大切にしているのは、ただ手続きを代行することではなく、依頼者の“想い”をくみ取りながら、安心して次の世代へバトンタッチしてもらうサポートです。
これを読んでくださったあなたも、ぜひ「まだ元気だからこそ」準備を始めてみませんか?
**司法書士しげもり法務事務所**
【大阪市/相続・終活支援専門】
「あなたの想いを、安心して次の世代へ」