

※あっさり醤油ラーメンの極み
デジタル資産は遺言書に書けますか?見えない財産をどう残すか、相続トラブルを防ぐための完全ガイド
― 昨今、ネット銀行・仮想通貨・クラウドデータなど「デジタル資産(デジタル遺産)」が当たり前に存在するようになり、「これ、相続できるの?遺言書に記載しておけば安心?」という疑問を抱く方が大変増えています。特に、終活を考える50代・60代の方、また親御さんを持つ子世代の方から「遺言書にデジタル関連の資産も書いた方がいいか?」というご相談を受ける機会が増えています。
本記事では「デジタル資産を遺言書に書けるか」「書くならどう書くか」「実務上の注意点は?」という観点から、法律・制度面・実務面を整理してご説明します。
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結論:デジタル資産は遺言書に記載可能です
まず端的にお伝えすると、 **はい、デジタル資産(いわゆるネット口座、仮想通貨、クラウド上のデータなど)も、遺言書に書くことが可能です。**
これには以下のような理由があります。
- 遺言書とは、被相続人(財産を持つ人)が亡くなったあとに「誰にどの財産を渡すか」という意思を示す書面であり、法律上対象となる財産が「物」「金銭」「権利」等に限定されているわけではありません。
- 財産的価値を有するものであれば、たとえ“形が見えない”“ネット上にしか存在しない”ものであっても、相続の対象となり得ます。たとえばネット銀行の預金残高、ネット証券口座、仮想通貨ウォレットなどは、実務上「相続財産」として扱われています。
- また、実務記事でも「デジタル遺産を生前に整理し、遺言書などに明記しておくことが望ましい」との見解が出ています。
つまり、「デジタル資産は遺言書に書けるか?」という問いには「書ける。むしろ書いておいた方が望ましい」と答えられます。
ただし、「書ける=何を書いても大丈夫」という意味ではなく、書き方・整理の仕方・その他制度との関係を丁寧に整えておくことが非常に重要です。以下でその理由や具体的解説に進みます。
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なぜ遺言書への記載が重要なのか:形がないからこそのリスク
デジタル資産には、実物の通帳・証書・不動産登記簿などと比べて、以下のような特有のリスクがあります。
### ・存在そのものに気づかれない
たとえば、スマートフォンやパソコン・クラウドサービスに入っているデータ、あるいは仮想通貨ウォレットなどは、相続発生時に相続人側が「こんなものがあったのか」と気づかないままになるケースがあります。専門家コラムでも「相続人がデジタル遺産に気づかず、遺産分割協議が済んでしまった後に発覚し、再度協議をやり直すケースがある」と指摘されています。
また、ログイン情報が不明、2段階認証がかかっているなど、アクセスそのものが困難なことがあります。
### ・処理が遅れると負担・トラブルとなる
ネット銀行や証券、仮想通貨など「お金」に近いデジタル資産は、相続税申告や遺産分割協議時に時価を含めて整理が必要です。仮に相続人が発見できず、数年後に出てきた場合、追徴課税・延滞税など税務リスクが出る場合もあります。
また、月額課金サービス・サブスク契約がそのまま残り、知らぬ間に支払いが継続してしまうという “負のデジタル遺産” もあります。
### ・利用規約・契約の制限がある
デジタル資産の中には、口座・ウォレット・サービス提供者の利用規約に「相続・譲渡不可」などの条項が含まれていることがあります。このような場合、単に遺言書に書くだけでは、実務上手続きできない可能性があります。
このような事情から、デジタル資産を含めて、遺言書等で「誰に」「どのように」引き継ぐかを明示しておくことが、相続時の混乱や家族トラブルを防ぐ観点から非常に有効です。
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解説:遺言書に記載すべき内容・書き方のポイント
ここでは、遺言書にデジタル資産を記載する際の具体的なポイントを整理します。
### 遺言書に記載できる内容
デジタル資産として考えられるものには、次のようなものがあります(ただしサービスによって取扱いが異なります)。
- ネット銀行口座・ネット証券口座の預金・株式・債券残高。
- 仮想通貨(暗号資産)ウォレットや取引所口座残高。
- 電子マネー・ポイント・マイレージ。
- クラウドストレージのデータ、SNS・ブログ・オンラインサービスのアカウントなど(財産価値・アクセス権があるもの)。
これらのうち「財産的価値がある」「相続人がアクセスできる可能性がある」「契約上処分可能・譲渡可能」などの条件を満たすものについては、遺言書に記載する意義が高いです。
### 遺言書にどう書くか:押さえておくべき項目
遺言書に書く際には、以下のような観点を入れるとより実効性が高まります。
1. 資産の種類・サービス名を特定する
例:「○○取引所における仮想通貨ウォレット(ウォレット名:××、口座ID:**)」「△△ネット銀行 普通預金口座 支店名××支店 口座番号**」など。
2. 引き継ぐ相手(受遺者)を明示する
たとえば「当該仮想通貨ウォレットを長男○○に相続させる」など、誰が取得するのかを明記。
3. アクセス方法・保管場所の手掛かりを記載
ID・パスワードそのものを遺言書に書くのはリスクもありますので、情報が記載された別紙・安全な保管場所・パスワードマネージャー等の指示を添えるのが望ましいです。
4. 債務・利用料・解約等の指示を含む
デジタル資産の中には利用料・契約継続が負担となるものがあります。遺言書内で「不要なサブスクは解約する」「ウォレット残高から手数料を控除して渡す」などの指示も検討すると良いでしょう。
5. 遺言執行者・管理者の指定
特にデジタル資産は専門知識・アクセス権の確認・対応の速さが重要です。遺言執行者として専門家(弁護士・司法書士等)を指定しておくと、相続後の手続きがスムーズになります。
### 遺言書作成時の制度・形式の確認
遺言書が法的に有効であるためには、形式面の要件を満たす必要があります。例えば日本では、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類が認められています。
また、最近では “遺言書のデジタル化” に関する制度改革が進んでおり、2025年10月からは公正証書遺言のオンライン化・電子署名化が始まる予定です。
ただし、サービスの利用規約で「譲渡・相続不可」とされているケースでは、相続人が実際に取得できないこともあります。つまり「相続できるかどうか」は、資産の種類・契約内容次第です。
### 誤解②「遺言書に書いておけば全部安心」
確かに遺言書に書いておくことは重要ですが、それだけでは安心とは言えません。なぜなら:
- アクセス情報(ID・パスワード・2段階認証など)が不明だと、相続人が資産にたどり着けない可能性があります。
- 利用規約で相続が認められていない資産や、相続実務で証明が難しい資産もあります。
- 遺言書の形式が不備だと、無効になる可能性があります(例:手書き要件や証人等)。
- 遺言書に書いてあっても、相続税・名義変更・契約解除手続きなど実務対応が伴わなければ、結局家族の負担になることがあります。
つまり、「遺言書に書く+実務対応も整える」という合体型の対応が必須です。専門家の確認が安心です。
### 誤解③「デジタル資産は評価しにくいから放置してもいい」
評価が難しいという理由で放置されるケースも見られますが、むしろ放置することで以下のリスクがあります:
- 相続人が気づかず、そのまま相続手続きが終わってしまい、後で見つかった時に再協議をしなければならない。
- 相続税申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月内)を過ぎてしまい、延滞税・加算税などのリスクとなる。
- 不要な月額課金サービスが継続され、相続財産から引かれたままになる。
したがって、「評価できないから後でいい」ではなく、「今から整理しておく」ことがむしろ重要です。
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実務での注意点:遺言書作成から相続手続きまで
デジタル資産を遺言書に含め、相続を円滑にするには、以下の実務ポイントを押さえておきましょう。
### 保管・アクセス情報の整理
- パソコン・スマートフォン・クラウドサービスのどこに、どんなアカウント・ウォレット・サービスがあるか、一覧として作成しておきましょう。
- その一覧には「サービス名」「ログインID/メールアドレス」「使用中のパスワードまたはヒント」「2段階認証設定の有無」「保管場所・連絡先」などを記録します。
- パスワード自体を「遺言書」に書くのはリスク(紛失・漏洩)。別紙で保管し、遺言書には「別紙〇〇に記載あり。保管場所○○」と指示する方法が安全です。
### 遺言書の形式・保管
- 遺言書が有効になるには形式に従う必要があります。たとえば自筆証書遺言では全文を手書き、日付・署名・捺印が必要です(ただし2025年以降制度見直し予定あり)。
- 公正証書遺言を活用すれば、公証人・証人・公証役場保管と手続きが堅固です。デジタル資産のような “見える形でない財産” を扱う場合、確実性を担保する意味で有力です。
- 遺言書の保管場所、家族・遺言執行者にその存在・所在をあらかじめ伝えておきましょう。デジタル資産があっても「遺言書が見つからない」「所在がわからない」では実効性が下がります。
### 遺産分割・名義変更・税務手続き
- 遺言書に記載があれば、基本的にはその内容に従って相続手続きが進みます。たとえば「X取引所の仮想通貨ウォレットを長男に相続させる」といった明示的指示があれば、その通りに実務を進めるのが原則です。
- 相続財産としてデジタル資産を含める際、「何を」「いくら分」をどの時点で評価するかが重要です。仮想通貨などは価値が変動しますので、相続開始時点の時価を基準にする実務が一般的です。
- 名義変更・払戻・解約手続きが必要な場合、それぞれのサービス提供者の規約・提出書類を確認する必要があります。たとえばネット銀行・ネット証券では死亡届・戸籍謄本・相続人の身分証明などが求められるケースがあります。
- 相続税の申告についても注意が必要です。デジタル資産を含めた全財産が基礎控除を超えるかどうか、申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)を守る必要があります。
### 契約内容・譲渡可否の確認
- 利用しているデジタルサービスの契約内容に「譲渡不可」「相続不可」といった条項があるかどうかを確認しておきましょう。相続人が取得できない場合、遺言書に書いていても実務で移転できないリスクがあります。
- また、二段階認証・秘密鍵・ハードウェアウォレットなど物理的保管が必要な仮想通貨ウォレットは、相続人がアクセスできる状態に整理しておくことが望ましいです。アクセス不能であれば資産が使えないままとなる危険もあります。
### 専門家・遺言執行者の指定
- 特にデジタル資産を含む遺言の場合、専門知識が必要となるケースがあります。遺言執行者として、弁護士・司法書士・信託会社などを指定しておくと、実務上安心です。
- 生前に「死後事務委任契約」を結び、契約・解約・名義変更・アカウントの処分などを委託しておくという方法もあります。
- 専門家に相談することで、自分の持つデジタル資産の洗い出し・整理・評価・遺言書作成まで一貫して支援を受けることが可能です。
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士業としての支援内容:専門家に何を依頼できるか
「遺言書にデジタル資産を記載するのはどうしたらいい?」「アクセス・評価・手続きが不安」という方に向けて、専門家(行政書士・司法書士・弁護士・税理士)がお手伝いできることを整理します。
### 行政書士・司法書士の支援
- 遺言書のひな型作成・形式要件のチェック(自筆証書遺言・公正証書遺言の違い、適正な保管方法など)
- エンディングノートやデジタル資産一覧表の作成支援・整理アドバイス
- デジタル資産(ネット口座・仮想通貨・ポイント・クラウド等)を持つ方への生前整理アドバイス(どの情報を残しておけば相続時に困らないか)
- 遺言執行者への引継ぎ、死後事務委任契約との連携支援
### 弁護士・税理士の支援
- 相続・遺言に関する法的アドバイス(遺留分侵害・相続人間トラブルへの予防)
- 税理士連携によるデジタル資産の評価・相続税申告への対応(仮想通貨等は価格変動が大きく専門性が必要)
- 遺言執行者の指定や遺産分割協議の代理、調停・審判対応など実務対応
- 名義変更・解約・アカウント移行などの手続き代行(特にアクセスの難しいサービス・海外取引所等)
### 事前相談・予備設計
- 将来トラブルになりやすいデジタル資産を洗い出し、どのように処理するか生前にシナリオ整理
- 契約書・利用規約の確認。譲渡・相続可否の確認など
- 遺言書作成にあたっての “何を誰に残すか・どう手続きするか” の文言設計およびチェック
- デジタル遺産が発覚しないまま放置されるリスクを防ぐため、相続人に知らせる仕組み設計
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まとめ:見えない財産だからこそ「今」備える
デジタル資産は、私たちの生活・資産構成の中でますます存在感を増しています。形として見えないからこそ、相続時に「あったはずなのに誰も知らなかった」「アクセスできなかった」というトラブルに発展しやすいのが実情です。
そのため、遺言書にデジタル資産を記載することは **“やっておいて当然・備えておくべき”** といえるでしょう。
ただし、「遺言書に書けばすべて安心」というわけではありません。アクセス情報の整理、契約内容の確認、制度形式のチェック、名義変更・税務対応など、実務面での準備を同時に進めておくことが不可欠です。
特に、仮想通貨・ネット銀行・クラウドデータ・SNSアカウントなどを複数持っている方、ITリテラシーが十分でないご家族が相続人となる可能性がある方は、早めに専門家と相談して整理を始めることを強くおすすめします。
遺言書作成だけでなく、アクセス情報や手続き方法を整え、「相続が発生した時に家族が困らないよう」準備をしておくことが、真の「思いやりある終活」です。
もし「具体的にどんな文言を書けばいいか」「どの専門家に相談すれば良いか」「どうやって一覧を作れば良いか」が気になるようであれば、いつでもご相談ください。
大切な「形のない財産」を、きちんと残すための第一歩を、今踏み出しましょう。