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遺言書のお話

2026年04月08日

認知症になる前に知っておきたい「家族信託」── 80代の親を持つ40代が今すぐ考えるべき財産管理の新常識

大阪の遺言書作成サポート司法書士ゆいごんのしげもり

はじめに

「もし親が認知症になったら、実家はどうなるの?」
「親の預金口座が凍結されたら、介護費用はどうやって払うの?」

80代の親を持つ40代の皆さんなら、一度はこんな不安を感じたことがあるのではないでしょうか。

日本では現在、認知症患者が約600万人を超えており、2025年には700万人に達すると言われています。親が80代であれば、認知症のリスクは決して低くありません。

そんな中、最近注目を集めているのが「家族信託」という仕組みです。成年後見制度に代わる選択肢として、認知症対策や相続対策に活用する方が急増しています。

この記事では、相続遺言専門の司法書士として、80代の親を持つ40代の方に向けて、家族信託とは何か、なぜ今注目されているのか、どんなメリット・デメリットがあるのかを、わかりやすく解説します。


認知症になると、財産はどうなるのか?

まず、大前提として知っておいていただきたいのは、「認知症になると、本人の財産は事実上"凍結"される」ということです。

認知症により判断能力が失われると、法律上、契約行為ができなくなります。つまり、以下のようなことが一切できなくなるのです。

・実家を売却する
・定期預金を解約する
・賃貸物件の管理契約を結ぶ
・保険金を受け取る

「家族なんだから、代わりにできるでしょ?」と思われるかもしれませんが、それは法律上NGです。本人以外が勝手に財産を動かすことは、たとえ家族であっても許されません。

そこで登場するのが「成年後見制度」です。


成年後見制度の課題

成年後見制度は、判断能力が低下した方を支援するための国の制度です。家庭裁判所が選任した後見人が、本人に代わって財産管理や契約を行います。

しかし、この制度には多くの課題が指摘されています。

1. 手続きが煩雑で時間がかかる

家庭裁判所への申し立てから選任まで、数ヶ月かかることも珍しくありません。緊急で資金が必要な場合には間に合わないこともあります。

2. 柔軟性がない

後見人は「本人の財産を守る」ことが最優先です。そのため、相続税対策のための贈与や、積極的な資産運用などは基本的に認められません。家族の希望があっても、それが実現できないことが多いのです。

3. 終身制である

一度後見が始まると、本人が亡くなるまで続きます。途中でやめることはできません。

4. 費用がかかる

専門職後見人(弁護士や司法書士)が選任された場合、月額2万円〜6万円程度の報酬が生涯にわたって発生します。

5. 家族が後見人になれるとは限らない

以前は親族が後見人になることが多かったのですが、現在は専門職が選任されるケースが増えています。家族の意向が反映されにくくなっているのが実情です。


家族信託とは何か?

こうした成年後見制度の課題を補う手段として注目されているのが「家族信託」です。

家族信託とは、財産を持つ人(委託者=親)が、信頼できる家族(受託者=子)に、財産の管理・運用を任せる契約のこと。

受託者は、契約で定められた範囲内で、財産を自由に管理・処分できます。委託者が認知症になった後も、契約は有効なので、受託者は引き続き財産を管理できるのです。


家族信託の基本的な仕組み

・委託者(親): 財産を託す人
・受託者(子など): 財産を管理・運用する人
・受益者(多くは親自身): 財産から生じる利益を受け取る人

例えば、こんな契約が可能です。

「父(委託者)が、長男(受託者)に実家と預金3000万円を信託する。父(受益者)は、信託財産から生じる利益(家賃収入や預金利息)を受け取る。父が認知症になったり、介護施設に入居する必要が生じた場合、長男は実家を売却し、その代金を父の介護費用に充てることができる。」


家族信託のメリット

1. 認知症になった後も、柔軟に財産を動かせる

家族信託では、親が認知症になった後でも、受託者が契約の範囲内で自由に財産を管理できます。実家の売却、賃貸物件の修繕、定期預金の解約など、必要な対応を迅速に行えます。

2. 成年後見制度より自由度が高い

後見制度では認められない相続対策(生前贈与や不動産の組み替えなど)も、家族信託なら可能です。家族の意向を反映した柔軟な財産管理ができます。

3. 裁判所の関与が不要

家庭裁判所への申し立てや報告は不要です。家族だけで完結できるため、スピーディーで負担が少ないのが特徴です。

4. 財産承継の設計が自由

「父が亡くなったら母に、母が亡くなったら長男に」といった複数世代にわたる承継設計も可能です。遺言ではできない柔軟な設計ができます。

5. 倒産隔離機能

信託財産は、受託者の個人財産とは別に管理されます。万が一、受託者が破産しても、信託財産は守られます。


家族信託のデメリットと注意点

もちろん、家族信託にも課題があります。

1. 設計が複雑

どの財産を信託するか、受託者の権限をどこまで認めるか、など、契約内容の設計が重要です。専門家のサポートなしでは難しいでしょう。

2. 費用がかかる

司法書士や弁護士への報酬、公正証書作成費用、登記費用などで、数十万円程度の初期費用がかかります。

3. 受託者の負担が大きい

受託者は、財産を適切に管理する義務を負います。定期的な報告や帳簿作成など、事務的な負担もあります。

4. 家族間のトラブルリスク

他の兄弟姉妹が不公平感を抱いたり、受託者が財産を私的に使い込んだりするリスクもゼロではありません。透明性の確保が重要です。

5. 身上監護はできない

家族信託は「財産管理」のみをカバーします。介護施設の契約や医療行為の同意など「身上監護」は対象外です。これらは別途、任意後見契約などで対応する必要があります。


家族信託が向いているケース

こんな方には、家族信託が特におすすめです。

・親が80代で、認知症のリスクが高まっている
・実家や賃貸物件など、不動産を多く持っている
・将来的に実家を売却して、施設入居の資金に充てたい
・相続対策として、生前贈与や資産の組み替えを検討している
・成年後見制度の硬直性に不安を感じている
・信頼できる家族(子)がいて、財産管理を任せられる


今すぐできること:家族で話し合う

家族信託を検討するにあたって、最も大切なのは「家族での話し合い」です。

親の財産、健康状態、今後の生活プラン、相続に対する考え方…。こうしたことを、元気なうちにオープンに話し合うことが、将来のトラブルを防ぎます。

「親にお金の話をするのは気が引ける」
「まだ元気だから、縁起でもない」

そう思われるかもしれません。でも、判断能力が低下してからでは、もう遅いのです。

話し合いのポイントは:

・親の財産(不動産、預金、保険など)を把握する
・親の希望(どこで暮らしたいか、財産をどう使いたいか)を聞く
・兄弟姉妹がいる場合は、全員で情報を共有する
・専門家(司法書士、税理士など)に相談する


専門家への相談が重要

家族信託は、設計次第で効果が大きく変わります。自己流で進めるのではなく、必ず専門家に相談することをおすすめします。

相続遺言専門の司法書士なら、以下のようなサポートが可能です。

・家族の状況に合った信託設計
・契約書の作成(公正証書)
・不動産の信託登記
・税務面のアドバイス(税理士と連携)
・家族会議のファシリテート

「うちの場合はどうすればいいの?」と思ったら、まずは気軽にご相談ください。初回相談は無料の事務所も多いので、ぜひ活用してみてください。


まとめ

認知症は、もはや他人事ではありません。80代の親を持つ40代の皆さんにとって、親の財産管理は、今すぐ向き合うべき現実です。

成年後見制度だけが選択肢ではありません。家族信託という新しい手段を知ることで、より柔軟で、家族の希望に沿った備えができます。

「まだ大丈夫」ではなく、「今、何ができるか」。

その視点で、ぜひご家族で話し合ってみてください。そして、必要であれば専門家の力を借りてください。

親にとっても、子にとっても、そして孫の世代にとっても、安心できる未来を築くために。今、一歩を踏み出しましょう。


記事参考元
https://news.yahoo.co.jp/articles/88334b4e510d1fa61a8c9630f952abd561cff6e3


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